能登半島地震が発生してから、もう3年が経ちました。そのような中で、仮設住宅において長い間暮らしていた方々も少なくありません。今回の企画で私たち「灯」が焦点を当てたのは、かつて仮設住宅で暮らしていた被災者の方々。山岸仮設に住んでいた人たちは、仮設住宅から退去された現在、市内3か所の復興公営住宅に別れて生活されています。今回、私たちは仮設に住んでいた時代の仲間との同窓会の意味も込め、公営住宅に暮らされている方々を招き、ささやかなクリスマス会を行いました。
今回の企画は、地元の方々との交流を目的に行われました。私は今まで何度も能登を訪れていますが、そのたびに感じることがあります。能登の魅力はそこにいる“人々”だと。
クリスマス会を通して、能登半島地震当時のリアルな話などを聞くことができ、大変充実した会となりました。
また、足湯活動を行い被災者の方々のつぶやき(心の本音)も拾うことが出来ました。つぶやきというのは、普段言えない悩みや不安なことなどをあらわしています。足湯をしながら会話をすることにより、体だけでなく心もあったまり、その会話の中で生まれたつぶやきこそが本来のニーズであると考えています。足湯というものは不思議なもので、初めて会った方でも二人だけの空間が生まれ、心の本音を話してくださる方もいます。
地震から3年が経ちますが、被災者の心はまだ十分に復興へと届いていないと感じます。そのため、今回のクリスマス会は、参加してくれた方々にとって心が安らげる場になったのではないかと思います。このクリスマス会には、地元メディアも関心を示しました。「復興」について、改めて考えていかなければならないという気づきが、このクリスマス会にはあったのではないでしょうか。
今回のクリスマス会は、私たち大学生だけでなく、地元の輪島高校のJRC(Japan Red Cross:赤十字)部や門前高校の有志学生たちと一緒に行ったというところもポイントです。能登が抱えている問題として、少子高齢化とよく言われますが、能登半島には活発な学生がたくさんいます。こうした“人的資源”が、能登半島の将来を明るいものにしていくのではないでしょうか。参加した高校生たちは能登半島が大好きで、能登のために自分が出来ることであれば何かしたいと考えている学生ばかりでした。交流してみて意識の高さにも驚かされました。私たち大学生も負けていられません。
クリスマス会では、足湯活動以外に、リース作りや、思い出話に花を咲かせました。仮設住宅から3か所の復興公営住宅に移り、離れ離れになってしまった方々にとっては、同窓会のような場になったのではないでしょうか。地震により一度分断されてしまったコミュニティから新しいコミュニティができ、住居の移転によりまた新しいコミュニティへ移ることになるという、めまぐるしいものではありましたが、仮設で築いた“絆”は切っても切り離せないものだと感じました。
帰り際にはみなさんが寂しそうな顔をしており、このような取り組みは継続的に行っていかなくてはならないと強く感じました。能登を元気するためには、やはり地元に住んでいる人自身が元気になる必要があります。そういった意味でも、能登の人々を元気にしていくことが必要ではないでしょうか。
クリスマス会を開催し、地震当事に築かれた絆は、今もなお続いていると感じましたこの絆を絶やさないためにも、能登の人々を元気にしていく活動を継続的に行っていくことが、同じ県内に住んでいる私たちのような若者の使命なのだと感じました。
最後になりましたが、今回のクリスマス会に来てくださった、山岸仮設住宅で暮らしておられた方々、またクリスマス会の成功の鍵とも言える地元の高校生に感謝の気持ちでいっぱいです。能登半島地震を悪い契機にするのではなく良い契機として、これからも能登を発信し続けて行きたいと思います。