灯を、穴水商店街に
1.復興祭での足湯活動を通して感じた、能登の人のあたたかさ

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私たち能登見守り寄り添い隊「灯(あかり)」は、2009年10月25日に石川県鳳珠郡穴水町で行われた復興祭で、足湯ボランティアをさせていただきました。復興祭や人々の様子、そしてそのとき私たちが感じたことをお話ししたいと思います。

取り組みのきっかけ

「灯」は、2007年3月25日に発生した能登半島地震の被災者支援や能登の活性化に関心を持つ学生で構成する金沢大学の学生組織です。この地震では多くの方が怪我をし、家を失いました。能登半島地震によって多くの方々が被災されたことに対し、同じ石川に住む私たち金沢大学の学生が能登のために何かできないかという思いから「灯」では、月に一度被災地である輪島市や穴水町を訪れ、足湯ボランティアを行っています。

足湯ボランティアは、阪神・淡路大震災の際に、鍼灸師の方が被災者の方々に行ったのが始まりです。お湯に足をつけてもらって手や腕をもみ、リラックスしてもらうというものです。

穴水町の「復興祭」

穴水町商店街では、能登半島地震のあと定期的に「復興祭」を開催しています。復興祭は地元穴水の方々が主催の祭りで、出店や出し物を行うイベントです。地震に負けず復興に向けて頑張ろう、穴水を盛り上げようというテーマで始まりました。

復興祭では、子どもから高齢者までいろいろな年代の方が祭りを楽しんでいました。さまざまな出店が並んでいて、クレープやアイスなどのスイーツのお店や地元食材を使った食べ物のお店、手作りの手芸品を売っているお店などがあります。また、もちつき大会や商店街の方が司会をするビンゴ大会、外部から来た大道芸人のパフォーマンスなどで会場は盛り上がっており、とてもにぎやかなイベントで、地元の人も私たちのような外部から来た人たちにも楽しめました。

足湯ボランティア@復興祭

復興祭当日は、イベント会場に隣接する旅館前のスペースで足湯ボランティアをしました。当初は別の場所で足湯をする予定でしたが、復興祭の会場のほうがより多くの方に来てもらえると思い変更をお願いしました。急なお願いにもかかわらず旅館の方は快く承諾してくださり、穴水の人の優しさを感じました。

足湯活動は午後1時から午後4時まで行いました。活動前に足湯の案内チラシを配りました。商店街を歩いている方に声をかけると、みなさん立ち止まって私たちの話に耳を傾けてくれます。そして『あとで行くわ』『金沢からわざわざ…。ありがとう』と言ってくださいました。

当日は予想をはるかに超えるたくさんの方が足湯会場に来てくださいました。足湯中は、来てくださった方といろいろなお話をします。誰もがリラックスしてにこやかな表情で話をしてくれます。私が足湯をした方は40代の女性で、『地震前より今のほうが街に活気がある。地震のあと復興祭のようなイベントが増え、人も多く訪れるようになったので嬉しい』とおっしゃっていました。足湯が終わったあと『気持ちよかったよ。ありがとう』とおっしゃってくれる方もいて、とても嬉しかったです。

穴水の人々

この復興祭には、地元の方はもちろん、穴水出身で今は別のところに住んでいる方も多く訪れていました。祭りのときに地元に帰るというのが、いかにも祭り好きな「のとっ子」らしいと思います。こうしたイベントが人々の絆を深め、地域を活性化するのだと思いました。
足湯に来てくださった方を見ると、どなたも良い表情で足湯を楽しんでいました。中には地震で家が壊れるなどの被害を受けた方もいましたが、そんなことを感じさせない素敵な笑顔をたくさん見ることができました。その笑顔に私たち学生のほうが元気をもらいました。

能登にはたくさんの魅力がありますが、一番の魅力は人のあたたかさです。チラシを配るときも足湯活動をしているときも、能登の人たちはいつも気さくに話してくれます。私たちは能登で活動をする度に人々のあたたかさに触れて、とても嬉しい気持ちになります。能登に来たことがない人には、ぜひ一度能登を訪れてその魅力を感じてください。きっと能登のあたたかい人たちに出会えると思います。
私たちはこれからも、足湯ボランティアを中心にいろいろな活動を能登でしていきたいと考えています。「灯」が能登の方々に喜んでもらえるような活動をすることで少しでも能登の活性化につながればよいと思います。