能登町のおはなし「こん狐」

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「こん狐」:能登町宇出津

昔々、宇出津に天呑城とよばれるお城がありました。
城主の家来に三宅小三郎という侍がおり、小三郎には不治の病にかかった息子が一人いました。
ある日の夜、外から「小三郎」と呼びかける声がしたので、目を覚ました小三郎が、庭に出ると、一匹の狐がいました。要件を訪ねる小三郎に、狐は「私は城山に住む狐です。私にもかわいい息子がいましたが、つい最近この世を去ってしまいました。祠を建ててやりたいのですが、わたくし一人ではそれもかないません。あなたが祠を立ててくれるのであれば、そのお礼に私があなたの息子の病を治しましょう」と言いました。
それを聞いて小三郎は藤波というところに狐の息子の祠を建ててやりました。するとたちまち小三郎の息子の病は治りすっかり元気になりました。
小三郎夫婦は喜び、それからはその祠へのお参りを欠かしませんでした。

近隣スポット

●真脇遺跡:能登町真脇

宇出津から近い真脇には昭和57年、58年の発掘調査によって判明した長期定住遺跡がある。真脇遺跡と呼ばれるその遺跡は、縄文時代の初頭から晩期までの約4000年間繁栄し続けた居住区の跡であるといわれ、大量のイルカの骨が見つかっていることからその地域に住んでいた縄文人がイルカ漁を行っていたといわれている。
こうした遺跡にちなんで宇出津には様々な観光スポットが点在している。
穴水から宇出津に向かう国道249号線沿いに巨大な縄文土器がある。これはギネスにも公認されている世界最大の縄文土器である。
また、真脇遺跡公園など家族連れで楽しめるスポットもあるので、縄文時代をモチーフにした観光スポットとして訪れてみてはいかがだろうか。
その他、遠島山公園や九十九湾など散策コースやファミリーでも楽しめるスポットが周辺には点在する。

編集後記・能登ばなしに触れて

金沢星稜大学3年 鈴木 洋平(プロジェクトリーダー)

私たちは、同取り組みの「能登半島岬めぐり」を含めると、途中休止の時期はあったものの約半年近く能登を取材してきました。
今回の活動趣旨は民話の選定と近隣スポットの新たな発掘です。ここで紹介させてもらったのはほんの一部で、能登には数多くの民話が各地に残っています。能登の自然と人の共存が生んだ話は、猿鬼伝説を代表するように動物系統のユーモアある話が非常に多くあることに気付きました。
そこでその点に注目し、私たちの自由研究は猿鬼伝説をメインにもってきました。理由はまず際立ったキャラクターがいるということ、話が分かりやすいということ、また能登有料からのアクセスがいいという点です。
有名観光スポットがある輪島と珠洲の真ん中なので、ここを起点にすればコースの組み合わせがより広がることになると思います。この地はまだまだ観光地にするには整備があまりできていないのが現状ですが、改善の余地はまだまだあります。微力ながら大学生の視点から今回のプロジェクトを通して発信していくことで、今一度各地の民話や伝説が注目を集め、新たな人気スポットが誕生することを期待しています。
そして、能登ばなしを次の世代へ受け継いでいけるように、これからも自分なりに友人に話していくなどして応援していきたいです。
最後に、この能登プロジェクトの取材に快く協力してくださった能登の方々、有難うございました。

編集後記・自然との共存

金沢星稜大学4年 玉野 敦朗

「能登半島全国発信プロジェクト事業」への参加も「能登のお勧め観光ルートの発掘」に続き「能登の自由研究レポート」で二回目となりました。
私の母が能登の出身ということもあり、能登に行く機会はこれまでもあったものの、ここまで本格的に能登の魅力について調べたことはありませんでしたが、今回の「能登の自由研究レポート」で「能登の民話と観光」をテーマに、能登の民話について調査し、その民話に登場する地域の観光地としての魅力に迫る中で、能登の地域としての魅力を
自分なりにつかむことができたと思います。
まず一つは、能登には内浦と外浦という異なる環境の海があり、内陸には今回の記事でも取り上げた岩倉山などの信仰の対象でもある山がいくつもあるなど、多様な自然があることです。この記事の中で紹介した民話の数々もそういった自然環境があるからこそ生まれたのであると思います。
そして二つ目が、それらの民話が現代に伝わっているということからもわかるように、そこに住む人々の信仰や、生活などが昔から脈々と続いていることです。例えば総持寺に関連する民話などは、実際に総持寺に行ってみると、その周辺に多くの人々が住み、生活していたからこそ生まれ、現代に伝わっていることが実感できます。
そういった意味で民話という視点から能登を取り上げることは、能登の自然とそこに住む人々の生活を感じる上で、有意義なものであると思います。ぜひ皆さんにも今回の記事は勿論、「のとめぐり」でも紹介した観光地を訪れていただきたいと思います。