イカの日本三大漁港・能登町小木
突然ですが、「イカの日本三大漁港」をご存じですか?
北海道の函館港や青森県の八戸港、そして2024年の能登半島地震で被災した石川県の小木港です。
今回は、能登半島の北東部に位置する小さな港町「小木」で、イカの加工食品の製造・販売を行っている「和平商店」の魅力に迫ります。

茶色の見た目が鮮度の証!小木の船凍イカ
和平商店は2009年の創業。元々、旅館業を営んでいた浅井夫婦が人生の第2ステージとして、夫の和平(かずひら)さんの「和平」に因んで、和平(わへい)商店を設立されました。
和平商店の自慢は、鮮度抜群の船凍イカ。船凍イカとは、イカを釣った直後に船内で急速冷凍させたもので、限りなく獲れたてに近い状態を維持できるのが特徴です。小木で獲れた船凍イカは「小木物」と呼ばれ、ブランドイカとして知られています。

イカの可能性は無限大!商品開発の裏側
和平商店では、様々な船凍イカの加工食品が販売されています。イカの内部に味噌を詰めた人気の「いかの鉄砲焼き」をはじめとして、刺身や煎餅、ふりかけなど、その数実に8種類。その7〜8割は妻の園子(そのこ)さんが考案しています。
中でも、特に力を入れたのが「能登いか煎餅」だとか。小木で獲れた船凍イカを煎餅状に加工して、じっくりと焼き上げたイカの旨みたっぷりの煎餅なのですが、開発の最終段階まで進めたところで焼き上げた煎餅が10日間ほど経過すると次々に割れてしまったのです。
試行錯誤を繰り返す中で「煎餅づくりのプロの力を借りるほかない」と感じた園子さんは、その道20年の煎餅職人の方を小木に招き、煎餅づくりのノウハウを教わることにしました。半年間、園子さんは煎餅職人の方から煎餅づくりのいろはを学び、最適な水分量で割れにくい能登いか煎餅の開発に成功したのです。

女性の味方の塩辛を作りたい!いか糀漬けの秘密
和平商店の人気商品の中に「いか糀漬け」があります。この「いか糀漬け」は、いわゆる塩辛なのですが、普段からあまりお酒を飲まない園子さんは、お酒に合わせるような塩気の強い塩辛ではなく、女性の方が温かいご飯の上に「ぽんっ」と乗せて「ばくばく」食べれるような優しい塩辛を目指したそうです。
ヒントとなったのは、石川県の郷土料理「かぶら寿司」でした。船凍イカに能登産の塩と糀を合わせて、アクセントにゆずの香りと唐辛子の辛みを加えた、化学調味料・保存料無添加の塩辛です。「かぶら寿司の良さを知っている人は絶対この美味しさが分かる」と園子さんはほほえみます。

和平商店の次なる挑戦
和平商店は、次なる目標として「若い世代に船凍イカの美味しさを伝える」ことを掲げています。そのため、イカの刺身の切り方を加工場で観光客に教える事業も計画しているそうです。
「一度切り方を覚えれば、いつでもどこでも船凍イカを自分で解凍して自分で食べられるようになる。たとえ東京のど真ん中にいたとしても、船凍イカを注文すればいつでも獲れたてのイカの刺身を食べることができる。」
一生モノの技術を小木で学ぶことで、若い世代にとってもイカがより身近な存在になることでしょう。
これまで数多くのイカの加工食品を開発してきた園子さんですが、まだまだ小木のイカで商品開発はできると話します。イカという一つのものをどんどん広げていくことで、地方ならではの自然の美味しさを伝えていけそうですね。
「千年に一度といわれる地震を経験したけれど、能登半島はまた画期的に甦る。そのためにも、若い人にもっと来てほしいし、私たちの商品開発にも携わってほしい」
小木のイカの旨みと浅井夫婦の情熱がぎゅっと詰まった和平商店のイカ商品を、ぜひ一度お召し上がりください。

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