「ほっと一息」のとなりに、田尻虎蔵商店
ほっと一息つきたいとき、皆さんは何を飲みますか?
コーヒーや紅茶、ジュースなど、手に取る飲み物はさまざまです。
私たち能登スタイルストアは、「ほっと一息」の新たな選択肢として、田尻虎蔵商店のお茶をご提案します。
田尻虎蔵商店は、1946年創業の七尾市和倉町にある茶問屋です。
ほうじ茶、緑茶や輪島の千枚田でとれる貴重な米「棚田米」を使用した玄米茶等を販売しています。
一般的な問屋と茶問屋の違いは商品の仕上げに関わる部分を担うという点です。
田尻虎蔵商店でも茶葉のブレンド、焙煎、加工、袋詰め等、消費者の手に届く仕上げの工程を行います。
今回、田尻虎蔵商店の田尻洋平さんにお話しを伺いました。
田尻虎蔵商店は、「品質のいいお茶を作り、安定して販売する」というポリシーのもとお茶の焙煎や仕上げを行います。
そして「直火焙煎」で茶葉の火入れを行うのがこだわりのポイントです。
ドラム式の焙煎機により茶葉を高温で直火焼きすることで、より香り高く、味の良いお茶に仕上がるそうです。

能登で古くから親しまれる棒茶
「棒茶」とはほうじ茶の一種。通常のほうじ茶はお茶の葉を焙煎しますが、棒茶は、お茶の茎を焙煎します。茎部分を焙煎することによる豊かな芳ばしい香りが特徴です。
石川県で棒茶と言えば、「加賀棒茶」のブランドが有名です。
しかし、加賀地域だけでなく、石川県全域、能登でも、「棒茶」「番茶」と呼ばれ、古くから親しまれてきた文化があります。
能登にも、かつて家の垣根にお茶を植えている家庭が多くあり、そこで採れた茶葉(茎)を自宅の釜で炒り来客に提供するという習慣がありました。
創業者の田尻虎蔵さん(洋平さんの祖父)がその習慣に目をつけ、1946年から和倉で茶の製造・販売を始めました。その中で、能登を代表するお茶として生まれた商品が「能登かおり」です。
能登で焙じる、味・香り・コクに優れたほうじ茶は、地元や旅館、飲食店などでも愛され地域に根付いています。

白米千枚田から「能登らしさ」を見つめ直す
千枚田米(棚田米)の玄米茶を作るようになったのは、およそ20年前の「地産地消」ブームがきっかけです。
大量購入・大量消費の時代であったバブルからの転換期であり、モノをその土地でつくる「理由」が求められるようになっていきます。
能登の習慣・文化を背景に生業を始めた田尻虎蔵商店でも「能登らしさ」が感じられる商品とは何かを改めて考え、新商品の開発をしようとしていました。
ちょうどその頃、輪島では、千枚田の維持が困難な問題に直面していることを知ります。
棚田での米作りは、人手による多くの時間と労力を必要とするため、後継者不足や高齢化が進む地元だけでは維持するのが難しい状況となっており、白米千枚田の保存会のオーナー制度が始まりました。
田尻虎蔵商店もオーナー制度を活用して、玄米茶に千枚田のお米を使用することにしました。こうしてできたのが、玄米棒茶と玄米緑茶。棚田米使用のこだわりのお茶は、能登の里山里海の風景、お米作りを未来に残そうとする想いが生んだ商品なのです。

この先を思い描く、お茶一杯に込められた想い
白米千枚田は、能登半島地震(2025年1月1日) 、豪雨災害(2025年9月21日)により甚大な被害を受けました。
田尻虎蔵商店も震災により地元での消費が減り、大きなダメージを受けています。
しかし、洋平さんは、災害による大変な状況の中でも、これから先の未来を見据えています。
「色々な視点から今の能登を見つめ直し、自分たちのお茶とどうリンクさせていくか考え、発信していきたい」
「若い世代にももっとお茶を飲んでほしい。コーヒーのように、気軽に楽しめるお茶の選択肢を増やしたい」
能登の未来を考えるとともに、お茶の普及にも力を入れたいと、洋平さんは力強く語ってくださいました。
一杯のお茶から、これまで、これからの能登の景色が見える。そんな田尻虎蔵商店のお茶。
心をなごませる香りのよい棒茶を「ほっと一息」の時間にいかがでしょうか。

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