海は世界に繋がっている〜七尾湾に築かれる水運浪漫〜「北林 雅康さん」

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出身:石川県能美市(旧根上町)
職業(取材時):七尾市役所 七尾市教育委員会スポーツ・文化課

この記事は、「能登半島移住計画」(2020年9月12日掲載)から転記いたしました。

能登半島移住計画は2021年3月末で終了いたしました。

突然ですが、皆さんにとっての『かっこいい大人』とはどんな人ですか?いろんな理想像があると思いますが、ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェはこんな言葉を残しています。

真の男のなかにはひとりの子供が隠れている。この子供が遊びたがるのだ

フリードリヒ・ニーチェ

私事ですが、私は『幾つになっても目を輝かせて夢中になれることがある人』がかっこいい大人だと思っています。今回紹介させていただく北林雅康さんは、まさしく私が理想とするかっこいい大人でした。

「目の前に海あるだけで、それが世界と繋がっとるってみんなそこまで思わんやろ。でも実際は各国から船が来とれんわい!!」と、活き活きと楽しそうに話してくれた北林さん。その目の輝きの中には間違いなく純粋なわくわくがあり、そのわくわくに私も触発されました。皆さんにも北林さんから受け継いだこのわくわくが少しでも届くように情熱を持って記事を書かせていただきます。

※もし私の力が及ばすわくわくが届かなかった場合は直接七尾に遊びにきてください。

港とともの歴史

もともと歴史が好きだったという北林さんは、奈良大学を卒業した後、2年間大阪の守口市で働き、七尾に移住された。県内で一番遺跡数が多い七尾、天然の良港である七尾湾は歴史的にも重要な場所であり、港とともに築かれてきた歴史は古墳時代の初めまで遡ることができるという。

現在、発掘調査を専門としている北林さんは、七尾城など文化財の調査、研究、普及活動をしており、その他にも子供たちにむけて古代歴史体験などのイベントも企画している。

「結局、歴史っていうとちょっとみんな構えてしまうけども、体験(勾玉作り、鋳造体験など)を通じて、歴史に関心をもってもらう。火起こし体験なんかは、ほんとに火起こせんと飯盒のご飯が食べられないっていう(笑)、子供らも真剣にやっとったよ」 

文化財を身近に

2018年に七尾でオープンした『のと里山里海ミュージアム』、現在このミュージアムとも連携しながら活動されている北林さん。文化財を守り、伝えていくために様々なアクションを起こしているが、子供たちに伝えるために、わかりやすくはするがレベルは下げない。本質がしっかりと伝わるように意識しているという。

「文化財を身近にというところで、結局その地域に残ってる歴史や文化というのが、その地域のアイデンティティになっとると思うんよ、その自然環境とかも含めて。子供達たちにそういうのをあんまり堅苦しくなく知ってもらえるように、そういう思いでやっとれんけども」

適度な町と適度な田舎

「今は、空、飛行機とかあるけど、やっぱり海は世界に繋がっとるから、その港があるのは常に世界に繋がっとると思うんやわ!!!」 

実際に七尾の港には中東やオーストラリアからも石炭やガスを積んだ船が来ており、いろんな各国々との交流があるという。七尾が今まで発展してきた港としての歴史、遡れば古墳時代の初めから続いているこの歴史と、日本100名城にも選ばれ、越後の龍の異名をもつ上杉謙信が落城させるのに苦戦したと言われる日本五大山城の1つ七尾城、遺跡もあれば城跡もあり、海もあれば山もあり、天然の良港あれば島もある。海の幸と山の幸、どちらも欲張り頂ける『恵』に愛されたここ七尾。浪漫溢れるまちなのです。

「ちょっとおせっかいぐらいというのがいいんかなと思う」と話してくれる北林さんは、積極的に地域の活動に顔をだし、地域の役員も勤め、尚且つ、七尾の文化財も広めている。今では七尾市民の人が、もともと北林さんが七尾に移住してきたということを聞くと驚くぐらい、北林さんは地域に密着し馴染んでいる。

ぜひ七尾の歴史に興味がある方、また移住先での地域への馴染み方に不安を覚える方は北林さんに会っていただきたい。仕事に情熱を持ち、よく笑い、元気ハツラツ、積極的参加型の北林さん。そのエネルギーに触れると、いつの間にかわくわくしている自分に気がつくと思います。


フォトライター 宮本一輝(石川県小松市出身)
インスタグラム:ciao_vamoskazu

※記事内容は取材時のものです。掲載情報変更の場合があります。
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