【集落の教科書 ”第二版”が完成しました!】全国のローカルに広がる集落の教科書プロジェクト

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この記事は、「能登半島移住計画」(2020年4月27日掲載)から転記いたしました。

能登半島移住計画は2021年3月末で終了いたしました。

みなさん、こんにちは!
能登半島七尾移住計画の任田和真です。(肩書:2020年当時)

私は石川県七尾市で地域おこし協力隊として活動をする傍ら、冬場は”能登かき”の生産者と共にかき貝を売って生活をしています。

七尾市内への『移住・定住の促進』を基本ミッションに日々活動していますが、その一環として平成30年度末に移住希望者向けの情報誌 ”集落の教科書(第一版)” を編集長として発行しました。

発行してから今日までの約1年間で、有難いことに各種メディアに取り上げて頂き、全国各地の自治体、地域団体、事業者様からお問い合わせを頂きました。またわざわざ視察に足を運んで頂いたり、慣れない講演活動をする機会も頂きました。

朝日新聞朝刊 ”いま聞きたい” 2019年5月3日

訪れてくれた全国の移住計画メンバー
2019年8月9日 『地域の顔育成研修/群馬県』

そのどれもが制作しているときには、全く予期せぬ反響ばかりでしたが、教科書をきっかけにしてたくさんの新しいご縁を頂けたことに、とてもやりがいを感じる1年間でした。みなさん本当にありがとうございました!

そしてこの度、記載情報の更新や追記を施した集落の教科書第二版”が完成しましたので、この1年を振り返りながらまとめてみたいと思います。

「集落の教科書」のダウンロードについては、後日、このページ内でご案内する予定です。
今しばらくお待ちください。

■地方移住を考えている方
■移住・定住に関わる仕事・活動をしている方
■コロナの影響を受けて、新たな暮らしを考えている方

そんな方にとってこの記事が少しでも参考になれば幸いです!

1.地域の風習やしきたりを明文化した”集落の教科書”

まずはじめに『集落の教科書』とは、”良いことも、そうでないことも、ちゃんと伝えたい”をコンセプトに、その地域の暮らしにまつわるルールやしきたり、風習などを明文化してまとめた情報誌のことです。主に、その地域で暮らしたいと考える移住希望者に向けて作っています。
( 集落の教科書は元々、京都府南丹市の「NPO法人テダス」さんと「南丹市世木地域」のみなさんが制作し、七尾市高階地区ではそのノウハウを元に作成しました。)

地域活動の種類・頻度
町会費の金額・使い道
回覧板などの情報システム
ゴミの出し方
公的支援制度
冠婚葬祭のルール

教科書に記載している「町会費の金額・内訳」「あいさつ回りの手順」「地域活動(草刈りなど)の種類や頻度」「消防団活動」「香典の相場額」など、こういった情報の多くは今の情報社会であってもインターネットや移住相談窓口ではきっと知り得ません。このようなリアルな情報こそ移住前に知りたいのですが、移住者の多くは実際に住み始めてから知ることになるのが現状だと思います。
それでもうまく地域に馴染める方にとっては心配ありませんが、知らないことが原因でトラブルになった例もよく聞きます

3つのターゲットと期待できる効果

そんな地域と移住者の”認識のズレ”を埋めるのがこの教科書です。そのためには『移住希望者が移住前に知っておきたいこと』と、『地元住民が移住者に事前に知ってほしいこと』その両者の情報を包み隠さず「良いことも、そうでないことも、ちゃんと伝える」ことが大切です。そうすることで主に3つのターゲットにおいて効果が期待できます。

①移住希望者–
 →情報が開示されていることにより、地域への信頼感や移住者受け入れに対する熱意が伝わる。移住してから「こんなはずじゃなかった」を防止することができる。(知っていれば起きなかったトラブルを未然に防ぐ)
(例:住んでみたら、市民税のほかに町会費が年間3万円もかかる!?さらに神社費や〇〇募金なんて…..そんな出費は聞いてない!何に使われているかも分からない!)

②地域内移住者
 →地域にスムーズに馴染むきっかけができる。またまちづくり活動への参画を促すことで、移住者を定住者へ導いていく。
(例:趣味の太鼓をこの地域でも続けられるかしら….あ!太鼓サークルが3つもある!食事などで家に招待されたときは必ずお土産を持参するのか。)

③地元住民
 →作成する過程で、町会役員が隣町のルールや風習を(おそらく)初めて知ることになり、横並びで見比べることで慣習化していたルールを見直すきっかけができる。
(例:空き家の家主からも町会費を回収するようにした→家主と最低でも年に1回はコミュニケーションを図ることで意思を確認し、危険空き家になることを未然に防ぐため)

集落の教科書は本来、移住希望者向けに制作したものですが
「町会長なのに、町会のこと全く分からなくて困っていたありがとう!」「おまえのとこの町会費なんでそんな安いんや!?」「実家に帰省してきた長男が、”これはすごい!”と食い入るように読んでいてびっくりしたよ」などの声を頂き、移住希望者だけでなく様々なコミュニティが希薄になっている現代において、思わぬところで効果が期待できるようです。

2.明文化したルールを更新。”第二版”が完成しました。

そんな集落の教科書ですが、記載してある”ルール”というのはその時代や状況に合わせて見直され改定していくものです。今回は、第一版発行から約1年の間で変更があった情報の更新、追記を行い、表紙を新たにリニューアルし”第二版”を発行しました!

”第一版”からの変更点として

■町会の人口、世帯数、班の数が変わった
■町会費の金額と集金の回数が変わった
■壮年団の名称が変わった
■市役所担当課の課名が変わった
■公的支援制度に変更があった
■サークル活動が増えた、活動場所が変わった
■消防団の訓練の期間・頻度が変わった
■コミュニティセンターが移転した
■バスの運賃が値上がりした
■新しい移住者にインタビューを行った など

項目に大きな改定はなく、変更・追記があったところは、細かい点ばかりです。ですが再度校正会議をする際に、特に初めて町会長や組織の長をする方は、記載情報が合っているかどうかを役員同士で協議、確認することで町会のルールを再認識できたといいます。

細かく地味な更新なのですが、編集者としては意外と大変です。(笑)

3.ローカルに広がる”集落の教科書プロジェクト”

集落の教科書が全国できることによって
「移住希望者がフラットに地域を選べるようになる」
それが京都府南丹市から始まった集落の教科書創刊の理念です。

私もその志を元に、この1年間でメディア取材や視察の受け入れ、講演活動をさせていただきました。そして実際に集落の教科書制作に取り掛かっている地域が全国で増えてきました。私たちもその一事例ですが、山口県や熊本県、島根県や富山県、同じ能登地方では半島先端の「珠洲市」で集落の教科書の制作に取り組まれているようです。また市や町の議会で取り上げられたり、総計で教科書づくりを盛り込む市町もあったりするとか。(テダスさんより)

石川県珠洲市の地域おこし隊馬場さんとの意見交換
6月に集落の教科書が完成するみたいですよ!(石川県珠洲市日置地区)

「私の地域でも作りたい!」
集落の教科書が全国のローカルへ広がっていく最大の理由は、教科書が持つ”共感力”だと思っています。私自身が南丹市の教科書を見た時に感じたように、教科書に記載してある情報は他にはない『それそれ! まさにそれ知りたい! 』なんですよね。そしてフォーマットは同じでも集まる情報は地域によって全く違うので、看板は同じであっても完成したものは、その地域オリジナルの一冊になります。

私にできる限りですが、志ある方には集落の教科書制作のサポートやノウハウを提供しますので、お気軽にご相談ください。

『季刊地域』No.41 2020年春号

4.人々の暮らしが変わるいま、地域としてできること。

昨今”新型コロナウイルス”、の感染拡大が世界中で猛威を振るっています。いち早い収束に向けて、地球規模で私たちの日々の意識と行動を今すぐに変えなければいけない状況です。いままでの当たり前が疑われ、人々の暮らしにも大きな変化をもたらし始めています。

あなたが本当に必要なものはなんですか。
あなたが本当に大切にしたいことはなんですか。
それを叶えられる暮らしはどんな環境ですか。

この有事の事態は
そんな本質的な問いを私たちに投げかけている気がします。
より安心でより良い暮らしを求めて 、私たちひとりひとりが真剣に考え
実際に行動に移してくきっかけとなりそうです。

そして新たな価値観がスタンダートとなり
人々の暮らし方が変わる今だからこそ

地域として移住者を受け入れ
多様な人が暮らしやすい土壌を整えることで
地域が一歩成長できるチャンスだと私は考えています。

”集落の教科書”がその一助を担えれば幸いです。

編集長 任田和真(七尾市地域おこし協力隊) ※2020年当時

【データダウンロード】
集落の教科書 石川県七尾市高階地区 ”第一版”【19MB】
         〃        ”第二版”【8MB】

インフォメーション

施設名
高階地区コミュニティセンター
住所
石川県七尾市町屋町ホ部55番地
電話番号
0767-57-3239